オウンドメディアの運用においてPV(ページビュー)数は重要な指標のひとつです。
PV数の目標設定は、競合他社を参考にオウンドメディアの運営のフェーズに合わせて適切に設定しなければなりません。
本記事では、オウンドメディアのPV数の目安や計算式、PV数が上がらない原因と対策を解説しています。
オウンドメディアの運営に悩んでいる担当者は、ぜひ参考にしてください。
オウンドメディアのPV数の目安は?
一般的なWebサイトの場合、月間で数千から数十万程度のPV数を集めることが目標とされています。ただし、PV数は業界の市場規模によって大きく異なるため、一概にどの程度のPV数が目安となるかはいえません。
特定の業界やニッチな分野であれば、その業界の規模や競合状況、サイトの目的などによって目安は異なります。ニュースサイトやブログ、ECサイトなど、Webサイトの種類によっても異なるため、それぞれの種類に適した目標を設定する必要があります。
オウンドメディアの最終的な目標は、PV数が多いことよりもサイトの目的やコンテンツが訪問者にとって有益であり、コンバージョン(購入や申し込みなどの行動)が期待できることなので、PV数の目安はあくまで参考程度といえます。
PVとはオウンドメディアを評価する指標のひとつ
オウンドメディアにおいてPV数は重要な指標のひとつです。PV数はページビュー数を示し、Webサイトやブログがどれだけ多くのユーザーに閲覧されているかを測る数値です。
オウンドメディアは、自社のサイトやブログを通じて自社商品やサービスについて情報を発信するために利用される場合が多いです。
そのため、多くの人に閲覧されることで、自社のブランド認知を高められます。またPV数が多いということは、そのメディアが提供する情報やコンテンツが興味深いと感じるユーザーが多いことがいえます。
ただし、PV数だけを追い求めることがすべてではありません。コンテンツの質や、ユーザーがそのコンテンツを拡散するかなども重要な要素です。PV数だけを追いかけて、コンテンツの質を犠牲にしてしまうと、ユーザーからの信頼を失ってしまう可能性があるため、バランスの取れた運用が大切です。
PVとアクセス数の違い
PVとアクセス数の違いは下記のとおりです。
・PV数は、Webサイトのページが閲覧された回数
・アクセス数は、Webサイトにアクセスしたユーザーの数
例えば、1人のユーザーがあるウェブサイトの5つのページを閲覧した場合、PV数は5となります。一方、アクセス数は1となります。同じユーザーが、異なる日にまたアクセスした場合、これは新しいアクセスとしてカウントされ、アクセス数が2となります。
PV数は、ユーザーが1つのページを何回も訪問した場合に重複してカウントされるため、アクセス数よりも大きな数になります。特定のページのPV数が高い場合、そのページが人気があることを示し、コンテンツの改善やマーケティング施策の戦略の見直しにもつなげられるでしょう。
PVの目安の計算式
PVの目安の計算式には、コンバージョン率(CVR)をもとにPV数目標を計算する方法と競合他社を参考にする2つの方法があります。
コンバージョン率(CVR)をもとにPV数目標を計算する方法
PV数目標を計算するためには、以下の情報が必要です。
・コンバージョン率(CVR):ユーザーが自社の商品やサービスを購入や申し込みなどの目的でアクションを起こした割合を示す指標。
・目標とするコンバージョン数:特定の期間内に達成したいコンバージョン数。
以下の式を使って、必要なPV数を計算することができます。
必要なPV数 = 目標とするコンバージョン数 ÷ コンバージョン率(CVR)
例えば、目標とするコンバージョン数が100で、CVRが5%である場合、必要なPV数は以下のようになります。
必要なPV数 = 100 ÷ 0.05 = 2,000
つまり、特定の期間内に目標とするコンバージョン数を達成するためには、2,000のPV数が必要ということになります。
ただし、CVRはさまざまな要因によって変動するため、実際にはもっと多くのPV数が必要な場合があるかもしれません。この計算方法はあくまでも目安として考えるようにしましょう。
競合他社を参考にする方法
Googleアナリティクスのベンチマーク機能は、Googleアナリティクスに登録された他のWebサイトのデータから、同じ業界・地域に属する類似のWebサイトと比較することができる機能です。
自社Webサイトのトラフィックやコンバージョン率などが業界平均や他のWebサイトと比べてどの程度のレベルであるかを把握することができます。
ただし競合他社の平均アクセス数や具体的な数字を知るためには、競合他社のWebサイトのアクセス数を直接調査をしなければなりません。
競合調査のためには、アクセス解析ツールが必要ですが、アクセス解析ツールによって得られる数字はあくまでも推測値であり、正確な数字ではないことがあるため注意が必要です。
PV数が上がらない原因
オウンドメディアのPV数を上げるための対策を解説する前に、PV数が上がらない原因を解説します。PV数が上がらない原因は下記の8つです。
・記事の設計ができていない
・キーワード対策(SEO)がされていない
・記事の内容がわかりづらい
・求められている情報が記事内に少ない
・オリジナルコンテンツが少ない
・ページ間を回遊できるようなUIになっていない
・SNSの活用ができていない
・効果検証をしていない
それぞれ詳しく解説していきます。
記事の設計ができていない
記事の設計ができていないと、ユーザーにとっての情報価値が低く、興味を持ってもらえないため、PV数が伸びにくいです。
設計が不十分な場合は、タイトルや見出しが具体性に欠けたり、ユーザーの関心や問題意識に合わないコンテンツになってしまいます。また本文の構成が論理的でなかったり、情報がまとまりに欠けたりするとユーザーはすぐに離脱してしまいます。
ユーザーが記事の内容を理解しやすくするために、適切な見出しや箇条書きなどの構成要素を使って、ユーザーが記事をスムーズに読み進められるような構成を意識することが必要です。
キーワード対策(SEO)がされていない
PV数が上がらない原因のひとつは、キーワードの選定が不十分な場合が挙げられます。
適切なキーワードの選定や記事内での適切な配置、キーワードの密度や関連キーワードの使用など、検索エンジンからアクセスを獲得するための重要な要素です。
キーワード対策がされていない場合、記事が検索エンジン上で上位表示されず、ユーザーの目に留まる機会は一向に増えることはありません。
また適切なキーワードを使用し、グループ分けを行わず選定してしまうとカニバリゼーション(カニバリ)の可能性を高めてしまいます。
カニバリゼーション(カニバリ)とは、自社サイトの複数ページが『同じ検索キーワード』『同じ検索意図』に対して競い合っている状態のこと。
カニバリを起こしてしまうと、複数の記事でGoogleからの評価が分散してしまい、順位の低下が発生します。場合によっては、CVRの低いコンテンツが上位表示されてしまい、売上の機会損失が起こります。
キーワードの選定には、読者のニーズや関心に合わせたキーワードを使用し、グルーピングを行い適切なキーワードで対策することが重要です。
記事の内容がわかりづらい
記事の内容が分かりづらい場合、ユーザーは不快感を覚えるため、継続的に訪問してもらうことは難しいといえます。
ユーザーに違和感なく読んでもらうために、ユーザーの理解を助ける言葉の選び方や、文章の構成・流れを整理しなければなりません。
適切な見出しや箇条書きを使い、情報を整理することで、読者がスムーズに理解できるように工夫することが重要です。読者のレベルに合わせた文章を心がけるようにしましょう。
求められている情報が記事内に少ない
ユーザーが求める情報が記事中に少ないと、コンテンツを見ても興味を持たず、PV数が伸びにくい傾向があります。(流入が多くてもすぐに離脱につながるため)
ユーザーはより詳細な情報を求めていることが多いため、記事内容が浅く、詳細な情報が提供されていない場合は満足度が低くなります。さらに記事が短すぎる場合、ユーザーが求める情報を提供することができないため、興味を持たれません。
コンテンツの情報は、競合他社のコンテンツと比べてユーザーにとって満足する内容なのか確認するようにしましょう。
オリジナルコンテンツが少ない
オリジナルコンテンツが少なくても、それがユーザーにとって役立つ情報であったり、娯楽や情報提供の面白いものであれば、PV数は伸びる可能性があります。しかし競合他社と比べて、独自性やクオリティが低い場合は、PV数は伸びません。
他のサイトやメディアで既に取り上げられた情報だけでは、ユーザーの離脱につながります。独自の視点や情報を加え、他のサイトやメディアにはない魅力的なコンテンツを作り上げることが重要です。
自社にしか提供できないような情報や最新のトレンドなど、ユーザーにとって魅力的なオリジナルコンテンツをつくることでPV数の向上が期待できます。
ページ間を回遊できるUIになってない
オウンドメディア内で回遊できるようなUI(ユーザーインターフェース)なっていない場合、ユーザーが長くサイト内に滞在することができず、PV数を増やすことができません。
たとえば、記事中での関連記事の表示や内部リンクの設置が効果的です。
関連記事を表示することで、読者に次に読んでほしいコンテンツを提供したり、より詳しく記載のあるコンテンツにアクセスしやすくすることができます。
これらの対策を行うことで、読者がオウンドメディア内を自由に移動できる導線が作れるため、PV数の増加につながります。
SNSの活用ができていない
SNSの活用が出来ていないこともPV数が伸びない原因のひとつです。
SNSは、多くの人々が日々利用しており、近年のマーケティング戦略には欠かせないツールとなっています。
SNSを使ってコンテンツをシェアすることで、自然な形で新しいユーザーにアプローチが可能です。SNSを通じて、ユーザーとの対話やコミュニケーションができることで、ファンやリピーターを獲得しやすくなります。
効果検証をしていない
オウンドメディアの運用を開始しても、常に効果検証をしないとPV数を上げることはできません。
効果検証とは、ある施策がどの程度効果的であるかを定量的に評価することです。具体的には、A/Bテストや多変量テストを行い、コンバージョン率やクリック率などの指標を測定して、どの施策が最も効果的であるかを判断します。
効果検証を行わない場合、何が原因でPV数が上がらないのかが明確にならず、改善策を見出すことができません。
例えば、『どのキーワードがアクセス数を増やすのに効果的か』『どの種類のコンテンツがより多くのユーザーを引きつけるのか』など、想定外の結果が出ることもあります。
効果検証を行なうことで、PV数の上昇につながる施策を見つけ、より効果的なマーケティング戦略を展開することができます。
PV数を上げるための対策
PV数を上げるための対策は、下記の7つがあります。
・質の高い記事を掲載する
・既存記事を更新する
・ユーザーに検索されるキーワードを設定する
・見やすいデザインにする
・内部リンクを最適化する
・SNSからのアクセスを増やす
・広告を出稿する
質の高い記事を掲載する
PV(ページビュー)数を上げるためには、質の高い記事を掲載することが非常に重要です。
質の高い記事はユーザーにとって価値があり、情報や知識を提供してくれるため、より多くの人々が訪問し、コンテンツが読まれる傾向があります。
ユーザーにとって価値のある質の高い記事は、検索エンジンによる評価も見込めるでしょう。つまり、検索結果で上位に表示される可能性が高くなります。
質の高い記事はSNSで共有される可能性も高くなり、その記事が掲載されているオウンドメディアへのアクセスにつながることが多いため、PV数の増加につながります。
既存記事を更新する
既存記事を更新することは、PV数を上げるために有効な方法のひとつです。
記事の情報が古くなってしまうと、ユーザーは記事に価値を感じなくなり、PV数が減少しかねません。そのため、定期的に記事を更新することで、ユーザーにとって価値のある情報を最新の状態で提供し続けることができます。
検索エンジンは、常に最新の情報を提供することを目的としており、更新された記事を優先的に表示する傾向があります。そのため更新した記事は、より多くの人々に見てもらえる可能性が高くなります。
ただし更新内容が少ない場合や更新頻度が低い場合は、効果が薄れることがあるため適切な頻度で更新することが重要です。
ユーザーに検索されるキーワードを設定する
ユーザーに検索されるキーワードを設定することは、PV数を上げるために重要です。
ユーザーに検索されるキーワードを設定することで、ユーザーにとっても価値のある記事を提供することにつながります。ユーザーが求める情報に合致した記事は、ユーザーにとって有用な情報源となるため、多くのアクセスが期待できます。
さらに、検索されるキーワードを分析することで、より具体的なニーズを把握することにつながるでしょう。分析に基づいて、より深い洞察を得るための調査や記事の改善点を見つけ出すことができるため、PV数を向上させるための戦略的なアプローチが可能です。
競合他社が選んでいないキーワードで、かつ検索ボリュームが多いキーワードは、PV数を上げられる可能性が高いので、慎重にキーワードを設定しましょう。
見やすいデザインにする
PV数を上げるためには、見やすいデザインを採用するようにしましょう。
見やすいデザインはユーザーにとってストレスを減らし、快適な閲覧環境を提供するため、ユーザーが記事を読み続けることができます。一方、見づらいデザインはユーザーに不快な印象を与え、コンテンツから離脱されかねません。
読みやすいフォントや画像を使用したり、適切な行間や文字サイズを設定したりすることで、ユーザーの滞在時間が長くなるため、検索エンジンからの評価にも関係します。
ただし、見やすいデザインを実現するためには、適切なレイアウトやフォント、色使いなどについての知識が必要です。
社内に人的リソースが足りなければ、外部の運用代行会社を検討してみましょう。
内部リンクを最適化する
特定の記事から関連する記事への内部リンクを最適化することで、自社サイトからの回遊率が上がり、PV数を増やすことができます。
内部リンクを適切に設定することで、サイト内のページの関連性や構造を示すことができ、検索エンジンからの評価を高めることも可能です。
内部リンク数に上限はありませんが、貼り過ぎはよくありません。あくまで、自然な形で関連コンテンツにユーザーを誘導しなければなりません。
オウンドメディアを構築する前に、内部リンクに配慮したサイトマップを作成することをおすすめします。
SNSからのアクセスを増やす
SNSは、自社のコンテンツを広く知ってもらうために必要不可欠なツールの1つです。SNSを活用することで、新しいユーザーを獲得し、PV数を増やすために重要な役割を果たします。
例えば、サイト内のコンテンツをSNSで紹介することで、ユーザーが興味を持ち、サイトにアクセスすることが期待できます。SNS上でのキャンペーンやプレゼント企画などを通じて、ユーザーをサイトに誘導することもできるでしょう。
ただし、SNS上でのプロモーションには、適切なコンテンツの作成やSNSの特性に合わせたアプローチが必要です。
SNS上でのシェアには、リアルタイム性や口コミ効果などがあり、効果的なプロモーション手段としても利用できます。
広告を出稿する
広告を出稿することで、多くの人々にサイトの存在を知ってもらうことができます。特に、検索エンジンやSNSなどで広告を出稿することで、ターゲットとなるユーザーに直接アプローチが可能です。
さらに広告を出稿することで、サイトへのアクセス数も見込めます。
特にクリック課金型の広告を出稿することで、広告がクリックされた場合にのみ費用が発生するため、費用対効果を高められます。またターゲットとなるユーザーにリーチすることで、サイトへのアクセス数が増加するだけでなく、コンバージョン率の向上にもつながる可能性があります。
広告を出稿する際には、適切な広告の作成や設定、費用対効果の考慮など、事前に戦略を立てることが必要です。
PV数以外で大事なオウンドメディアの目的達成
オウンドメディアの目標を達成するためには、PV数以外にも重要な指標を意識しなければなりません。ここでは、PV数以外に重要な指標を解説していきます。
オウンドメディアのおもな効果指標は下記のとおりです。
・SS(セッション)数
・UU(ユニークユーザー)数
・リピーター数
・自然検索流入数
・CV(コンバージョン)数
SS(セッション)数
SS(セッション)数とは、Webサイトに訪れたユーザーのセッション数を示す指標です。
1つのセッションは、Webサイトを開いてから閉じるまでの時間のことで、同じユーザーが再度、Webサイトを訪れる場合は新しいセッションとしてカウントされます。
SS数は、Webサイトのトラフィックやユーザーの活動を把握するために用いられます。
UU(ユニークユーザー)数
UU(ユニークユーザー)数とは、Webサイトにアクセスしたユーザーの数を示す指標です。
1人のユーザーが何度アクセスしても、そのユーザーは1つのUU数としてカウントされます。UU数は、Webサイトの利用者数を把握するために用いられます。
リピーター数
リピーター数とは、Webサイトや店舗などを複数回利用するユーザーの数を示す指標です。
リピーター数は、ビジネスにおける顧客ロイヤルティの指標となります。高いリピーター数を維持することは、企業の収益増加やマーケティングの成功につながります。
自然検索流入数
自然検索流入数とは、検索エンジンでの検索結果から、Webサイトに訪れたユーザー数を示す指標です。
広告などの誘導を行わずに、自然に検索エンジンから流入したユーザーの数を計測します。自然検索流入数が多いほど、WebサイトのSEO対策が効果的であることや、検索エンジンからの認知度が高いことを示すことがあります。
CV(コンバージョン)数
CV(コンバージョン)数とは、Webサイトにおいて目的とする行動(購入、問い合わせ、登録など)を達成したユーザー数を示す指標です。
例えば、ECサイトの場合は購入を指し、問い合わせサイトの場合は問い合わせがコンバージョンとなります。
CV数は、Webサイトの目的達成度やマーケティング戦略の効果を評価するために用いられます。
今回は、オウンドメディアのPV数の目安について解説しました。
オウンドメディア運営において、適切な指標設定は非常に重要です。指標の選定には、集客やコンバージョンなど目的や戦略に合わせた適切な指標を設定しなければいけません。
PV数の目安は、業界の市場規模によって大きく異なります。競合他社のアクセス解析をして、自社にあったPV数を設定するようにすることが重要です。
オウンドメディア運営で適切な指標設定をした後も、質の高い記事を継続的に作成や更新、内部リンクの設置/SNSの活用やアクセス解析など多くの作業は多岐に渡ります。
Webマーケティング会社への相談やコンサルティング会社への委託やアドバイスなども含めて、費用対効果の高いオウンドメディアの運用を検討することが大切です。