記事制作の際にしっかり引用を明記しない場合は、著作権侵害や盗用が疑われかねません。そのためにも、正しい引用方法や注意点の理解が必要です。
本記事では、ライティング時の正しい引用方法や書き方/注意点を解説しています。
記事作成の『引用方法が分からない』『正しい引用方法を知りたい』方に向けた記事になっています。
引用とは?
引用とは、他人や団体が発信した言葉や情報を自身の記事で使用することです。引用をすることによって自身の意見や考えの裏付けができます。
しかし、正しい引用方法の知識がないままに他社が書いた記事を引用してしまうと、著作権侵害や盗用になってしまう場合があり、最悪、刑事罰による罰則を受ける可能性があります。
引用する部分がどこから来たのかを明示し、正確な引用元を記載することが重要です。引用した情報が事実であることを必ず確認するようにしましょう。
参照や出典との違い
引用や参照/出典の違いは下記のとおりです。
意味 | 使い方 | |
引用 | 他の著作物から一部の文章を取り出して、自身の文章の中でそのまま掲載すること | 引用する際には、出典を明記する必要があります。引用は、他者の文章を参照しながら自身の考えを述べるために用いられます |
参照 | 他の著作物を参照して自身の記事を作成すること | 参照する際には、出典を明記する必要がありますが、引用するわけではありません。参照は、自身の記事を裏付けるために、他の著作物を参考にする場合に用いられます |
出典 | 自身が引用した著作物の情報源を示すこと | 出典を明記することで、引用した著作物を正確に特定することができます。信頼性のある記事を作成するために欠かせない要素です |
引用や参照/出典はそれぞれ異なる意味を持ちます。記事作成の際は、正確な引用と出典の明記が必要です。参照は自身の記事を構築するために有用な手段といえます。
ネット記事引用ルール
記事制作の引用方法のルールは下記のとおりです。
- 他人の著作物を引用する必然性があること
- 自分の著作物と引用部分が区別されていること
- 自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること
- 出典の明示がなされていること
他人の著作物を引用する必然性があること
引用の必然性を考えることは、自身の主張や立場を裏付けることや読者に対して配慮したり、著作権侵害を避けるためなど、さまざまな理由で重要です。
例えば医療に関する記事を書く場合、医師や研究者が発表した論文や研究成果を引用することで、読者に正確な情報であることを提供することできます。
ただし、引用する際は著作権侵害を避けなければなりません。他人の著作物を無断で使用することは著作権侵害に当たります。
著作権法に基づくルールや読者への配慮、自分自身の文章のアクセント付与などの理由から、ルールやマナーに従って正しく引用することが必要です。
自身の著作物と引用部分とが区別されていること
次に、自身の著作物と引用部分とが区別されていなければなりません。自身の著作物と引用部分とが明確に区別されていることで、読者はどの部分が引用であるかを正確に理解ができます。
自身の記事に他の著作物の一部分を引用した場合、引用部分が自身の著作物と区別されていないと、読者はどの部分が引用であるかを理解することができず、誤解を招きかねません。
記事制作においては、自身の著作物と引用部分とが明確に区別されるように注意を払うようにしましょう。
自身の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること
引用は、自身の著作物の中で他人のアイデアや文献を参考にしていることを示すために使用されますが、引用と自身の著作物とは主従関係が明確でなければなりません。
引用が多すぎると、自身のアイデアや発想が十分に表現されていないと誤解を招き、読者からの信頼性が低下する可能性があります。
引用を適切に使い、自身のアイデアや発想を正確かつ明確に伝えることで、読者に対して信頼性の高い記事を提供することができます。
出典の明示がなされていること
他人の著作物を引用する場合、必ず出典を明示することが大切です。
出典を明示することによって、読者が引用元を確認することができるため、引用した情報の信憑性や正確性を確認できるとともに、引用部分が著作物の一部であることを認識してもらえます。
ライティング時の正しい引用方法や書き方
ここからライティング時の正しい引用方法や書き方を解説していきます。
文章引用
ライティング時に他人の文章を引用する際は、正しい引用方法や書き方を知らなければいけません。正しい引用方法や書き方は以下のとおりです。
- 引用部分を「””」ダブルクォーテーションで囲む
- 引用した部分の背景色を変える
- 引用した部分に枠線を付ける
- 引用部分を【】や「」などで囲んで引用した著作物のタイトル/著者/出版社/出版年月/日などを明記する
- HTMLを使用している場合は、引用タグ(blockquoteタグ)を活用する
下記は一部の表示例です。
- 「引用:引用したサイト名」
- 「”引用部分”」
- blockquote 引用文 /blockquote
※blockquoteの前後を「<」「>」で囲みます。
引用文
引用方法や書き方は複数の表記が考えられますが、引用をしっかり明記できれば、どの表記を使用しても問題ありません。
自社のブランディングのために、あらかじめ記載方法はレギュレーションで決めておくことをおすすめします。
参考文献の書き方
文章を引用せずに他の記事を参考にしたい場合、自身の記事にも『参考文献』として表記が必要ですが、以下のことに注意するようにしましょう。
- 信頼性のあるサイトであること
- 参照元にサイト名やURLを明記すること
下記は一部の表示例です
・参照:『○○調査』(総務省公式ホームページ・当該ページのURL)
しっかりと『参照』『参考』が分かれば、使う記号(:や【】)などは自由でかまいません。
書籍の引用
書籍はWebサイトとは異なり、書籍へのリンクを貼ることができません。そのため引用部分の直後に主に下記の内容を表記します。
- 引用元の書籍名
- 著者名
- 出版社名
- 発行年月日
- ページ数
下記は参考例になります。
出典:話し方の技術
著者:田中太郎
出版社:XYZ出版
発行年月日:2023
(45ページから50ページまでの引用)
ただし、引用する際は内容を改変しないように、漢字やカタカナ/ひらがなの表記を正確に引用しなければなりません。
引用する際には、著作権法などの関連法令に違反しないように十分注意するようにしましょう。
SNS投稿の引用
SNSは埋め込み機能を使えば、投稿を引用する場合でも引用元が分かるので便利です。
(近年、ほとんどのSNSで埋め込み機能が搭載されています)
SNSの埋め込み機能とは、SNS上で公開されているコンテンツ(投稿や動画など)を、別のWebサイトやブログなどに貼り付けることができる機能です。
X(旧Twitter)やInstagram/FacebookなどのSNSの埋め込み機能の使い方の手順は基本的に一緒です。
埋め込みたい投稿の「…」ボタンをクリックし、表示されるメニューから「埋め込みコード(ツイート)を取得」を選択します。
埋め込みコードが表示されるので、コピーして、貼り付け先のWebサイトやブログのHTMLに貼り付けます。
可能であれば、埋め込み機能を使って投稿する場合でも引用部分が分かるように、適切な引用符を使ったり、引用元の情報を記載するようにします。また、信頼性のあるSNSなのかを見極めることも重要です。
SNSの利用規約に従って使用し、著作権やプライバシーに配慮するように注意しましょう。
画像の引用
自身で作成した画像や図表を使用するのであれば引用の明記は不要ですが、他のサイトから画像や図表を引用する際は、画像の下にサイト名とリンクを明記しなければなりません。
画像を引用する注意点として、相手方のサーバーに負荷がかかる為、画像へ直リンクしないことです。
また、直リンクをすると元サイトの画像パスが変更や削除された場合に、自身のページで画像が表示されない状態にもなります。
画像を引用したい場合は、一旦自身のPCに保存してから自身のサイトにアップロードするようにしましょう。引用したい画像の著作権やライセンス/使用許諾などの確認が必要です。
記事作成で引用を行う際の注意点
記事作成で引用を行う際の注意点は下記のとおりです。
- 引用元の記事の信頼性
- 引用部分を明確に区別する
- 引用文や画像を加工しない
- 孫引きをしない
引用元の記事の信頼性
引用元の記事の信頼性を十分に考慮することが必要です。
インターネット上にすでに公開されているサイトには、権威性のないライターが書いた記事も少なくありません。権威性のないライターが書いた記事を引用したとしても、読者には正確性や客観性に疑問が生じてしまいます。
また偽情報や偏向報道が多いブログやSNSなどから引用すると、情報の信憑性について懐疑的な見方をするユーザーも増えてしまいます。
引用元の記事は、慎重に信頼性の高い媒体を選ぶことが重要です。
引用部分を明確に区別する
引用元を明確に区別することにも注意が必要です。
一般的には、引用する文章や言葉を引用符(””)で囲み、引用元の著者名や出版年/出版物のタイトル、出版社などが明確に示されるようにすることが求められます。
引用が長くなる場合は、引用元を明確に示すために、別の段落に分けたり字体やインデントを変えたりするなど工夫が必要です。
引用文や画像を加工しない
引用文や画像を加工することで、引用元の情報を歪曲したり引用元の意図とは異なる形で提示することがあります。これにより、読者に対して誤った情報を提供してしまうことになり、記事の信頼性が損なわれかねません。
引用文や画像を加工することは、著作権法に違反する可能性があります。
著作権法には、著作物を許可なく加工/改変することが禁止されており、引用文や画像を適切に使用する際は、引用元の情報をそのまま掲載することが必要です。
孫引きをしない
記事作成で引用を行う際には、孫引きを避けなければなりません。孫引きとは、引用元の情報を引用している情報をさらに引用することを指します。
孫引きを避ける理由として、情報の正確性や信頼性が損なわれる可能性が挙げられます。孫引きされた情報は、引用元の情報から遠ざかるため、誤った情報や古い情報を拡散することにつながります。
読者に対して正確な情報を提供するために、必ずオリジナルの文献を参考にするようにしましょう。
著作権を侵害した場合に発生するリスク
著作権を侵害した場合に発生するリスクについても把握する必要があります。
損害賠償の請求
著作権を侵害すると、損害賠償を請求されるリスクがあります。著作権侵害や盗用は著作権法第114条によって守られています。
引用:e-Gov法令検索
引用部分は著作物であり、引用元に対する著作権が存在します。他社が出版した書籍や記事から無断で文章や画像を引用した場合は、引用元の著作権者が損害賠償を請求されることがあります。
著作権に関する法律や規制に違反しないよう、注意深く記事制作を行うことが重要です。
刑事罰による罰金や罰則
著作権法には、著作権侵害に対する罰則規定があり、著作権侵害行為が重大な場合には、刑事罰が科せられることがあります。例えば著作権者の許諾なく、著作物を複製や公衆送信、頒布/貸与する行為などです。
著作権の侵害によるリスクは下記が挙げられます。
・最大10年の懲役
・最大1,000万円の罰金
引用:e-Gov法令検索
刑事罰を受けることもあるため、著作権を侵害しないように注意が必要です。
ホームページやブログの閉鎖
著作権を侵害した場合、ホームページやブログが閉鎖される可能性があります。
著作権侵害に関するクレームが著作権者や代理人から出された場合、ホスティングサービスやプラットフォーム運営会社は、法的責任を負わないために、当該コンテンツの削除やアクセス制限/アカウントの停止等の措置を取ることがあります。
また著作権者や代理人が訴訟を起こした場合、著作権法第112条により、ホームページやブログの閉鎖が命じられることもあります。
著作権侵害には注意が必要であり、自身の作品について著作権を適切に管理し、他者の著作物を適法に利用するように心がけることが重要です。
今回は、記事制作の際の引用について解説しました。
記事制作の際に引用する場合は、信頼性のあるサイトであることを確認し、引用元のサイト名やURLを明記しなければなりません。
自身を著作権侵害から守るためにも、正しい引用方法を理解することが必要です。自社で記事制作をする際は、本記事の引用方法を参考に記事制作に活用してみてください。