医療記事は、医薬品情報や医療機関の施設紹介/学会取材に関わる記事などジャンルはさまざまあります。ですがその多くが「正確性」「信頼性」だけでなく『科学的根拠』『医師監修』によって担保していなくてはいけない記事といえます。
そこで本記事では、信頼性の高い医療記事とはどういうものか、執筆・外部に依頼する際に必要とされる注意点を解説していきます。現在、医療記事を考えている担当の方や外注で医療記事の制作を考えている方に向けた記事になっています。
信頼性の高い医療記事とは?
前述の通り「科学的根拠」と「医師監修」によって担保された医療記事が信頼性の高い記事といえます。
医療の歴史において、根拠に基づく医療(EBM:Evidence-Based Medicine)が重視されています。エビデンスの種類は大きく分けて2つあり、経験に基づく『経験的根拠』と科学的な研究によって明かされる『科学的根拠』です。
一般的な記事とは異なり、信頼性の高い医療記事を制作する場合、体験談や経験談など主観的なデータが必要になります。さまざまな医学/疫学研究による結果から得られた科学的根拠などの診療ガイドラインを参考にすることが重要です。
一方で、近年『医師監修』による記事が増えています。その背景には、検索エンジンであるGoogleの『Google検索品質評価ガイドライン』や2014年頃からはWEBコンテンツ(記事)の評価基準のひとつとして、E-A-Tが重要視されています。
※E-A-Tとは専門性を意味する「Expertise」、権威性の「Authoritativeness」、信頼性の「Trustworthiness」の頭文字を指します。
Googleでの検索結果上位に表示させるためには、Googleが定めているガイドラインを満たした記事を上位に表示する傾向が強いため、正確性や信頼性だけでなく医師監修によって作成された記事を発信することが大切です。
医療に関するYMYL領域とE-E-A-T
ここでは、医療に関する「YMYL領域」と「E-E-A-T」について解説します。医療記事を制作するにあたり重要なポイントのため内容について理解することをおすすめします。
すでにご存知な方は先へお進みください。
YMYLとは
「YMYL」は「Your Money or Your Life」の略で、人々のお金や人生に関連性の高い記事を指すため、通常の記事よりも正確性や信頼性を必要とします。検索エンジンからは「YMYL」による関連性を厳しく評価されることから医療記事を執筆する際は難易度が上がります。
医療記事を執筆する際は、将来的に健康/金融/幸福などへ影響を与える可能性がある情報であることを念頭に置かなければいけません。
E-E-A-Tとは
先述では、医療記事の評価基準のひとつとして、E-A-T-Tが重視されると述べましたが、E-A-T-Tとは下記の通りです。
・Experience(経験):内容や情報に関する記事制作者の体験や経験が含まれている
・Expertise(専門性):記事制作者が有する専門的な知識やスキルが含まれている
・Authoritativeness(権威性):特定の分野における知名度や認知度の高さが担保している
・Trustworthiness(信頼性):記事の正確性や安全性が含まれている
検索エンジンは、日々記事を評価し検索順位を決定しており、E-E-A-Tは、評価するための指標のひとつになります。具体的には、「専門家による監修」がされているか/「正確性・信頼性の高い情報」を引用しているか/「経験や体験談に基づいているか」といった点です。
特に、医療記事は「医師監修」「科学的根拠」などが重要視されているといえます。
薬事法・薬機法について
前述の通り、信頼性の高い記事として「YMYL」「E-A-T-T」が指標として重要ですが、一方で、記事を執筆する際は、薬事法や薬機法という知識も必要とされます。ここでは薬事法/薬機法について解説します。
薬機法と薬事法の違い
2014年までは『薬機法』を『薬事法』という名称で呼ばれていましたが、2014年に施行された『薬事法等の一部を改正する法律』によって、法令名が薬事法から『医薬品/医療機器等の品質・有効性及び安全性の確保等に関する法律』へ変更されたことで現在は『薬機法』と呼ばれています。
薬機法の対象となる製品とは
薬機法とは、医薬品等の製造/販売などに関するルールを定めること、保健衛生の向上を図ることを目的とした法律を指します。
主に薬機法では、
・医薬品
・市販薬・体外診断用
・化粧品
・医療機器
・再生医療等製品
などの製造・販売などに規制が定められています。
薬機法の規制対象である医薬品などを製造・販売する企業は、広告規制をはじめとしたルールを守らなければいけませんので注意が必要です。
薬機法に違反した場合はどうなる?
薬機法に違反した場合、法人・事業者問わず、行政指導として是正処置を求められることになっています。また2021年8月からは新たな課徴金による罰則制度が設けられています。
具体的には、対象となる製品の売上金額の4.5%を納付する義務が課せられるため、執筆する際は特に注意して制作をしなければいけません。
医療記事の注意点
他にも医療記事を執筆/外部に依頼する際に、注意しなければいけないポイントがあります。
大前提として医療記事はエビデンスに基づくことが重要
医療記事に関わらず、エビデンス(科学的根拠)に基づいた記事は重要とされています。医療分野の記事においては、特にエビデンスは重要視しなければいけません。
間違った情報を記事で提供したり/人々の健康を害する恐れがある内容の場合は、信頼性と正確性を担保することができないためです。
執筆前のリサーチ段階で、信憑性のある情報を元に「データの信憑性について」見極めることがポイント。『誰が書いているかわからない』ようなサイト情報を参考にしては「間違った情報」の記事になってしまうため、特に注意してリサーチを行わなければいけません。
また、医院のホームページや医師が独自で発信しているブログであっても、同じことがいえます。
医師独自の見解での表現や視点から書かれているケースがまれにあります。盲信するのではなく正確な情報であるかを確認したうえで、参考にすることが必要です。
正確な情報であるかについて断言できない場合は、公的機関や大学/研究機関などから発信されている情報を参考にすることをおすすめします。
誇大広告は禁止行為になる
薬機法の対象である医薬品や化粧品は『誇大広告を出してはいけない』と規定されているため注意が必要です。誇大広告は、薬機法第六十六条に定められており誇大広告 (記事も含む) や虚無の内容を記載・公開する行為は禁じられています。
例えば、「10kg痩せます」「絶対にしわがなくなります」といった広告です。根拠のない内容やビフォーアフターの画像を載せたものを見た方も多いのではないでしょうか。
読者に誤解を招くような、画像を修正し事実とは異なる内容を書いた広告などは「誇大な表現」と認識されてしまうため厳重に注意が必要です。
特定の医薬品や化粧品の誹謗には注意が必要
規定以外にも、特定の医薬品や化粧品など『商品に関する誹謗・中傷』も禁止行為といえます。
・例「A社のこの商品は、おすすめできない」
・例「B社のこの商品は、製造する仕組みが間違っている」
などの批判的な表現は誹謗・中傷に該当します。医療記事において適切な内容での制作が求められます。
断定表現は控える
医療記事は、断定表現である「絶対に効く」「必ず治る」といった表現を使用してはいけません。
例えば「治る」という単語は医療用語に当たり、医療従事者ではない方が治るや効くという単語自体を使うことは違法にあたります。
エステやマッサージ店のホームページで見られる「肩こりが治る」「腰痛に効く」という表現は使えないため注意しなければいけません。
事前に厚労省規定のガイドラインを確認する
薬機法に違反しないためには、厚生労働省が規定したガイドラインを事前に確認することをおすすめします。気になる方は下記の参照元をご確認ください。
参照:厚生労働省 令和4年の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)等の一部改正について
専門用語については分かりやすく書く
医療分野において医療用語は難しい言葉が多いため、知識が乏しい読者には伝わりにくい場合があります。
読者に必要とされる有益な情報を記事で発信しても「わからない」「理解できない」と思われてしまっては、記事を読んでもらえません。最後まで読んでもらうためには『わかりやすい文章』で記事を書くことが大切です。
とはいえ医療用語をわかりやすく書けるかは、医療ライターの力量によっても異なります。読者に伝わりやすい表現を書くためにも医療ライターの選定が重要といえます。
記事の信頼性確保が重要
まれに、一般ライターのような専門知識が少ないライターへ医療記事を依頼するケースが見られます。その場合は、記事の信頼性確保のために監修者(専門医・有資格者など)へ監修依頼をお願いするようにしましょう。
例えば、医師へ取材を行い、取材内容を別の監修者にチェックしてもらうことで、その記事の信頼性をより高めることができます。
多くの記事では、取材した医師や監修者の氏名/経歴/顔写真などが掲載されています。簡易的な経歴やプロフィールを掲載可能かなどの確認を事前に行うことを忘れてはいけません。
納品前に依頼者へ相談・確認を取る
医療ライターを信用して記事を作成した場合でも、薬機法に該当してしまう可能性はあります。「引っ掛かる表現」がないかなどライターやご自身だけでなくクライアントへの確認/相談を行い記事をアップすることが望ましいです。
入念な記事チェックを行った上で進行するように心掛けましょう。
医療記事が書けない場合は外注がおすすめ・業者の選び方
企業によっては、社内に執筆者がいない場合が考えられるため、外部に記事制作を依頼する手段を考えなくてはいけません。
特に医療分野は専門的な知識が必要なため、安易に医療記事を書いてしまっては、前述で述べた薬機法に該当するリスクが発生します。外部に依頼することでリスクを最小限に抑えることが可能です。
医療分野への知識と文章力を確認
外部に執筆を依頼する際は、医療知識のあるライターへ依頼することは必須ですが、医療知識があるライターでも文章力が優れているとは言い切れません。
「読者が読みたくなる文章」「正しく情報が伝わる文章」とは限らないため、医療知識と文章力を兼ね備えているかが重要なライター選定のポイントです。
ライター選定の際は、執筆した記事や掲載メディアの執筆物を確認することをおすすめします。また記事によって、リサーチや取材/インタビューといった専門性のある記事を依頼する場合が考えられます。
医療/健康などの医療分野では『命に関わるケース』の記事を発信することが多々あります。情報を収集するスキルやコミュニケーションスキルが求められる部分があるため、信憑性の高い記事を作成するために根拠のある情報/最新の情報など執筆以外でのリサーチ力も重要です。
記事制作費用・品質を確認
医療記事は、専門性が高い記事のため通常の記事制作費用よりも料金相場は高い傾向です。
多く活動しているライターの中から、記事に見合うライターを判断するのは難しいといえます。『実際に記事が想定と違った』『コミュニケーションが不足している』などライターへの課題や問題が発生するかもしれません。
依頼を考えているライターには、経歴や実績をはじめとした医療記事の執筆情報や掲載メディアの提示を行うようにしましょう。サンプルの執筆をお願いすることもライターによっては可能です。
医療記事を外注するメリット
医療記事を外部に委託する場合のメリットについて解説します。外部に委託を考えている方は、ポイントを押さえておくことをおすすめします。
専門知識や経験を活用することができる
まず一つ目のメリットは、記事制作におけるSEOの観点での執筆ができる点です。
医療記事の制作を外部に依頼することで、これまでの医療分野におけるSEOに関する知識や掲載実績での経験を活用して記事制作をおこなうことができます。
仮に良質な記事や専門性のある記事を作成しても、結果が出るとは限りません。より検索エンジンに評価されるための対策としてSEO知識による記事制作が必須になります。
記事制作会社は、専門性の高い医療分野の独特なニーズや規制についての知見だけでなくSEO対策への知識も持っており適切な戦略を活用することができます。
SEO対策とは・・・SEO対策とはSearch Engine Optimization(サーチ・エンジン・オプティマイゼーション)検索エンジン最適化の略です。検索エンジンの評価アルゴリズムを考慮して自社サイトの最適化を行い、検索結果の上位にサイトを表示させるための対策を指します。
効率的な戦略で進行できる
記事制作会社は、これまでの記事制作で蓄積されたノウハウを元に制作業務を進めていきます。効率的な戦略で記事制作を実行できるため、制作費用が発生しても効果を得られやすくなります。
人的なリソースを改善することにもつながり、制作会社によっては、執筆だけでなく記事の公開・改善まで一通り依頼が可能です。本来の業務に集中しながら記事制作を進めることができるため、人的なコスト/時間を効率的に活用することにつなげられます。
規制やコンプライアンスを遵守できる
医療記事の場合、プライバシー保護に関する法律/規制やGoogleが定める品質基準も遵守することが求められます。誤解を招く表現や文章/虚偽の広告を避けるためにも専門業者への依頼は大きなメリットです。
Googleのガイドラインに違反した場合、Webサイトへのペナルティ対象となり、検索結果に表示されなくなります。厳重な注意のもと記事を制作しなければいけません。
最新のトレンドとアップデートに対応できる
昨今、検索エンジンでは、検索結果の表示(アルゴリズム)のアップデートが不定期に行われています。そのため、1年前の情報も古い情報と認識され、常に新しい情報を入手し記事制作を行わなくてはいけません。
検索結果の表示(アルゴリズム)のアップデートは日々変化しているため、専門業者への依頼は、最新のトレンドやアップデートに適した対策をおこなうことにつながります。
医療記事を外注するデメリット
メリットがある一方で、デメリットについても把握した上で外部に依頼するかの判断を行うことが大切です。
費用が発生する
当然ですが外部に記事制作を依頼する際には費用が発生します。記事制作会社によって、制作本数や文字数など費用は異なります。
医療記事の対策は中長期的な対策といえます。医療記事を発信するメディアで短期的に売上を見込むことができないため、継続的な記事制作を外注することが想定されます。中長期で記事制作が必要になるため、予め予算を組んでおくことがポイントです。
構成案や記事内容の確認が必要になる
外部に依頼を行った場合、対策キーワード/記事内容の確認や共有を行う手間が発生します。
記事制作会社や医療ライターに、記事のテーマや見出し/構成の方向性を伝える打ち合わせが必要です。それぞれの業務に該当する担当者へ共有が適切に行われるかで、記事内容が大きく変わる可能性があります。
『構成案が含まれていない』『対策キーワードの選定業務が含まれていない』などが発生することが考えられるため、入念に打ち合わせを行い依頼することをおすすめします。
また記事を公開するメディアによって目的や特徴/業界の傾向などは異なります。依頼側の目的や希望する情報を詳しく共有することが大切です。
想定していた記事が納品されない可能性がある
先述の通り外部に依頼することで、納品される記事が想定と異なる場合があります。
依頼時に打ち合わせした場合でも医療ライターによって文章表現が異なり、ニュアンスが異なる記事が納品されたりします。そのため、外部に依頼を行う際は、随時、記事確認が取れる体制や想定されるリスクを最小限に抑え、共有方法など事前に決定することが重要です。
フォーデザインの医療記事制作への取り組み
昨今、当社では記事制作サービスを行っており、医療記事のお問い合わせ/ライティングの機会が増えています。行っている記事制作サービスについて一部紹介します。
医療記事制作サービスの紹介
当社は、医療分野での記事制作サービスにも対応しております。
医療関係者(医師)をはじめとした看護師や歯科衛生士・薬剤師といった各分野に対応した医療記事を得意とするライターが在籍しております。
そのため医療機器や薬品・医療制度(サービス)など、お問い合わせ頂く企業様の要望に沿った記事制作が可能です。
フォーデザインの医療ライター育成の取り組み
医療ライターといっても、さまざまなライターがいます。当社では、独自のライター制度による基準を設け、執筆のスキル/質を担保しております。
実際には、一定水準をクリアしているライターの中からアサインを行い記事制作のプロジェクトを進行していきます。先述しました『デメリット』にあたる『想定していた記事と違う』『構成案の確認が必要』といったような問題は発生しにくい体制になっています。
信頼性の高い医療記事を書くためには|まとめ
信頼性の高い医療記事を執筆するためには、医療分野の中でも知識や文章力のあるライターに依頼することをおすすめします。
万が一、自社で執筆する際は、本記事で解説したような『違法』や『薬機法』に触れてしまうリスクがあることを念頭に置かなければいけません。また検索エンジンによる評価を得る観点からも、ノウハウを持っている記事制作会社へ依頼することが望ましいといえます。
医療記事の制作を考えている方は、まず社内のリソースを確認の上、外部に依頼を行うか検討してみてはいかがでしょうか。