【2024年版】オウンドメディアの正しい運用方法と注意点を解説

『オウンドメディア』を運営をする場合、記事の企画・制作・検収から効果検証などを整えることで、スムーズにオウンドメディアの運用ができるだけでなく、運用後の成果に直結します。

『オウンドメディア』はただ情報を発信するだけのツールではなく、企業の収益増加や集客/ブランディング/採用といった企業の目的やコンセプトによって運用は異なります。そのため『オウンドメディア』を運用するには、正しい体制の作り方と各工程での運用が必要です。

本記事では、オウンドメディアの運営に必要な『正しい運用方法』と『運用時の注意点』について解説します。

オウンドメディア運用の目的

オウンドメディア運用の目的

オウンドメディアの運用を始める際、明確な目的を設定することが必要です。

オウンドメディアを運営する目的は企業ごとに異なります。下記はオウンドメディアを運営するための代表的な例です。

  • 集客
  • プランディング
  • 採用
  • 教育・社内報
  • メディア運用の知識や経験の蓄積
  • マネタイズ

目的をどこに置くのか/オウンドメディアで何をしたいのかを明確に設定することは今後の作業工程で重要な指標です。

オウンドメディアを運用する3つの目的

前述したとおり、目的は企業によって異なります。目的を達成するために、『新規顧客の獲得』『潜在ユーザーとの関係性の構築』『長期的な資産の確保』といった課題が考えられます。

新規顧客の獲得

新規顧客の獲得に、オウンドメディアの活用は非常に有効です。

オウンドメディアで継続した情報発信を行い、多くのユーザーに閲覧されることで、企業が認知され、興味/関心を持ち、購入やサービスの利用といったユーザーの購買につなげることができます。

これまで消費者は、テレビ/ラジオ/新聞/雑誌などの広告をきっかけに企業の商品やサービスを認知することが一般的でしたが、近年ではユーザー自身が必要な情報を検索/収集し、比較/検討を行うように消費者行動が変化しています。

オウンドメディアの場合、企業側はユーザーが知りたい情報や課題を解決するHowto記事などの情報発信をすることで、自ら検索/収集するユーザーに対して、企業名を認知させ、購買までの導線につなげることができます。

潜在顧客との関係性の構築

オウンドメディアは潜在顧客との関係性を築くためにも活用されています。

潜在顧客との関係性構築で重要となってくるのが、見込み客を中長期的に育成していくプロセスを意味するリードナーチャリングです。
たとえばオウンドメディアを通じて、企業の魅力を伝え続けることにより購買意欲を高めて、購入や申し込みにつなげていくという手法があります。

継続的なコミュニケーションは購入意欲を高めるのみではなく、相手のことを知ることで安心できる存在になるのと同様に、企業への信頼感にも繋がります。

役に立つ情報を発信し続けることで、潜在顧客が継続的にオウンドメディアに訪問してくれるようになり信頼関係の構築が可能です。

運用の目的によって、『お問い合わせ』や『お役立ち資料ダウンロード』などのコンバージョンポイントを用意すれば、ユーザー情報の取得ができ、後にDM配信やリマーケティングなどのコミュニケーションを行う事も可能となります。

長期的な資産を確保する

自社の情報発信を行える場所は、企業にとっては貴重な資産となります。

オウンドメディアで制作したコンテンツは半永久的にメディア内に蓄積することができるため、自社の資産として長期的かつ継続的な効果を発揮します。
たとえばWeb広告などは大勢の人に一気に露出が可能なメリットがありますが、これは広告予算の大小に依存するため、競合企業との予算合戦になるケースもあります。

オウンドメディアで公開したコンテンツ、メルマガ配信用の素材/潜在顧客向けのダウンロード用資料/さらには営業用資料など、その後の活用範囲が広いことも魅力といえます。
資産を確保するという点からも、オウンドメディアは企業にとっての貴重な資産と呼べるのです。

オウンドメディアの運用手順

オウンドメディアの運用手順

オウンドメディアの運用手順は、以下の通りです。

  1. 目的の設定
  2. ペルソナ・コンセプトを決定
  3. 競合企業を分析
  4. 対策KWの選定
  5. 構成案の作成
  6. コンテンツ制作
  7. 効果測定
  8. 対策KWの追加や変更を検討
  9. 成果地点を増やす
  10. 必要に応じて既存コンテンツを修正(リライト作業)する

このように、オウンドメディアの運用には手順が存在します。
手順の各項目を正しく行うことで効果的なオウンドメディア運用が可能となります。

目的/コンセプトを設定する

まずはオウンドメディアの目的とコンセプトを設定を明確にすることが重要です。オウンドメディアを運営する目的とコンセプトを明確にすることで、今後設定するターゲットやペルソナが決定しやすくなります。

一例として次のような目的があります。

  • 新規顧客の増加
  • 成約率の向上
  • エンゲージメントの向上
  • 商品/サービスの認知度向上

オウンドメディア運営によって、『どのような目的を達成したいのか』『オウンドメディアを立ち上げる目的』を決定することは、統括者と運用担当者/関係部署での認識統一をする上で必要不可欠となります。
人によって、目的の認識にずれが生じてしまうと細かい部分で話が噛み合わないといった問題が発生しやすくなるためです。

ターゲット/ペルソナを決定する

オウンドメディアの目的/コンセプトが決定したら、ペルソナ/ターゲットを設定します。
発信する情報を伝えたいユーザーがターゲットです。ターゲットをより具体的に仮想の人物像として作り上げたのがペルソナとなります。

ターゲットを設定することでオウンドメディアで発信する情報の範囲と内容を明確にできます。
さらに詳細な人物像のペルソナを設計することで、運用時にコンテンツの方向性で迷ったときにも、関係者間で共通の認識があると無いのとでは協議の質も変わってくるでしょう。

ペルソナ設定が曖昧なまま運用をすすめると、コンテンツ制作工程で関係者間での『認識のズレ』が起こり、一貫性のないオウンドメディアになってしまいます。

ターゲットとペルソナ像を社内の関係者に共有することで、認識統一に繋がり、運用をスムーズにすすめる事が可能となります。

対策KWの選定する

対策KWの選定する

目的/ターゲットが決まったら、次は対策KW(キーワード)を選定します。

対策KWは、今後公開してゆくコンテンツでどういった検索キーワードでの上位表示を狙うか(SEO対策をするか)を決めることを指しています。
キーワードは、自社が伝えたいことではなく、ユーザーに需要のあるキーワードを選定する必要があります。

ユーザーに需要があるキーワードを確認する為には、Googleが提供する『キーワードプランナー』や『サーチコンソール』。『らっこキーワード』を使うとスムーズにすすめる事ができます。

オウンドメディアは中長期的なマーケティング施策です。長期的に一定のジャンルに関するコンテンツを発信すると、Google(検索アルゴリズム)やユーザーに対し、誰のための何に特化したメディアなのかが評価されやすくなります。

検索数の多いキーワードだかといって、様々なジャンルのキーワードでコンテンツ化してしまうと、どういった趣旨のメディアなのかが不透明になってしまいます。
SEO(検索エンジン最適化)対策としてキーワード選定を正しく行うことはオウンドメディアの成功につなげる重要な手順です。

フォーデザインでは競合企業のKW調査も行った上でキーワード選定をしている

当社にご相談を頂く、オウンドメディアで成果が出せていない企業の分析を行うと、

  • 対策キーワードが適切ではない
  • 競合企業のKW調査が行われていない
  • キーワードが網羅されていない
  • 一つの記事に入れるキーワードが不適切

といったケースが多く見受けられます。

キーワード選定後はコンテンツ制作へと移行し、その後も最初に設定をしたキーワードを軸に戦略を立てていく事となります。
そのため、対策キーワードの選定がしっかりおこなわれていない場合、ほとんど失敗すると言えます。

キーワード調査表

当社ではまず、3万から10万キーワードの『候補キーワード』を出し尽くします。このときに、様々なツールを駆使してキーワード抽出を行っていきますが、最終的には人の目によって判定を行う必要があり、2週間から4週間の時間をかけてすべて目視によって対策キーワードを絞り込んでいきます。

キーワードが異なっても検索意図が同一であるもの(例:オウンドメディア 運用、オウンドメディア 運営)などのグルーピングもこの段階で行い、同じようなキーワードで別々の記事にする事がないようにします。
この作業を怠ると、後にキーワードのカニバリゼーションが発生しやすくなり、コストを掛けて制作したコンテンツを削除するなどの無駄な工数が発生するためです。

記事のみ発注、オウンドメディア運用丸投げ、など企業のニーズに合わた記事制作代行サービス

構成案の作成

対策KW(キーワード)の選定が終わったら、次は構成案の作成をします。

構成案を作成せずに記事を書き始めてしまうと、ターゲットユーザーが求めている情報とのズレが生じやすく、まとまりのない記事になってしまいます。 質の低い記事を発信してしまうと、ターゲットからの信頼や興味関心を持たせることができないため、記事の効果を期待できません。

また、構成案を執筆前に作成しておく事で、記事全体のイメージを確認した上でライターへ依頼する事ができますし、ライターも構成を元にライティングが行えるので執筆速度が向上します。
そのため、コンテンツを制作前に構成案を作成することは記事の成果を左右する重要な作業といえます。

コンテンツの制作

目的/ターゲットによってさまざまなコンテンツがありますが、前述した手順に従ってコンテンツを制作することでユーザーに魅力的な有益情報の発信ができます。

コンテンツを制作をする際のポイントは、ユーザーが読みやすい書き方にする事です。
SEO対策を意識しすぎると、どうしても上位表示したいキーワードを多く配置したりと、読み手を一番に考えたコンテンツとかけ離れてしまいます。

・冒頭で結論を伝える
・ひとつの見出しで伝える内容はひとつ
・文末表現や表記の仕方など細かな部分も注意する
・読み直しをおこなう

記事の冒頭で結論を書くようにし、結論を伝えた後に理由を書けば『読みすすめると得られる価値』が明確になるので読みやすい構成となります。

・結論
・理由
・例え話
・まとめ

の順に書くことで、ユーザーをあきさせずに理解しやすい記事になるでしょう。

構成案で作成したひとつ『見出し』では、伝える内容を『ひとつ』に絞ります。
見出しは記事を細かく分割し、読みやすく/わかりやすくする役割です。見出しの中に複数の内容が詰め込まれていては、見出しの意味が薄れてしまいます。
ひとつのことに絞れない場合は、小見出しを追加する構成案自体を変更します。

文末表現や表記の仕方など、細かな部分も注意が必要です。「〜です」「〜ます」などの文末が一般的ですが、同じ表現が続くと単調で読みづらい文章になり、ユーザーをあきさせてしまいます。

最後に本文の執筆が完成したら、改めて読み直しを行い『誤字脱字』や『言い回し』に問題がないかの確認を入念におこないます。

効果測定

オウンドメディアを公開し制作したコンテンツのアップが完了すれば、コンテンツが本当にユーザーの求めるものだったのかを確認できる状態になります。
オウンドメディアの立ち上げ段階/コンテンツの公開直後では情報が少なく評価することは難しいので、下記を目安にすることをおすすめします。

オウンドメディア運営歴半年以上(継続的にコンテンツ投下している場合)

コンテンツを公開してから1週間後に検索順位、ページへの流入数、閲覧時間などの指標を確認。

オウンドメディア運営歴半年未満

コンテンツを公開してから2〜4週間後を目安に、上記と同様指標を確認。

順位は常に変動しますので、毎日確認をするのは効率的ではありません。週に1、2回の頻度で主要キーワードの順位計測を行えれば運用には十分です。

コンテンツ公開後、2ヶ月ほど経過しても順位状況が思わしくない場合は、コンテンツの内容を見直す必要があるといえます。
また、複数のコンテンツが同様に順位が低迷している場合は、コンテンツそのものではなくWebサイト自体に原因がある可能性があります。

コンテンツを評価するためには、以下の3つのポイントを把握しておくと良いでしょう。

・その記事を読むのにどれくらいの時間がかかるのか=アクセス解析で閲覧時間を確認
・メディアの成果が目的に沿っているか=コンバージョンの発生したユーザーが契約に繋がっているか確認
・実際の訪問ユーザーセグメントと自社ターゲットにギャップが生じていないか=アクセス解析でCVRを確認

上記のようなポイントを把握し、定期的にチェックを行いましょう。

対策KWの検討や追加をする

効果測定をした結果をもとに、新たな対策KWの追加を検討します。

成果に繋がっているコンテンツがあれば、そのコンテンツとつながるようなKWを選定し、新しくコンテンツを追加。
新しいコンテンツから、関連ページへの内部リンクを設置する事で、ユーザーにとっても分かりやすくSEO対策にもつながります。

定期的な成果測定を行い、対策KWの追加を検討していくしていくことも重要です。

成果地点を増やす

新しいコンテンツを作成するだけでなく、検索意図に合わせた『成果地点の見直し』を検討することもオウンドメディアの運用では必要になります。

『見込み顧客の獲得』であれば、ユーザーの約に立つ情報をまとめた資料(ホワイトペーパー)をダウンロード可能な状態にする事で、ユーザーは質の高い情報を。企業はユーザーの情報を得る事ができます。

また、『問い合わせ獲得』LP(ランディングページ)を用意し、記事コンテンツからLPに誘導することで、CVRを高めるといった施策も可能です。
効果測定を行うことで、より効果的な施策を検討することができますね。

既存コンテンツを必要に応じて修正(リライト作業)

効果測定で発見できた課題をもとに、既存コンテンツのリライトを検討しましょう。
リライトとは、既存コンテンツの中で不足している情報を加筆したり修正をおこなうことで、最新の情報にアップデートする事をいいます。

たとえば鮮度が重要な時事ネタの場合、公開したときの情報と最新情報に乖離(かいり)が生まれユーザーにとって有益な情報とはなりません。
最新の情報にリライトすることで、検索エンジンからの評価を上げることにも繋がります。

また競合企業のコンテンツと比べて記事の網羅性にかける場合は、加筆することで競合企業よりも情報量の多い記事にものにすることができます。
リライト作業は、既存コンテンツの評価を上げるために必要な作業となりますので、公開して放置しているコンテンツがある場合は確認してみましょう。

オウンドメディア運用の注意点

オウンドメディアの運用の注意点

オウンドメディアで成果を上げられている企業がある一方で、結果が出せずにオウンドメディアの更新をしている企業もいます。
ここからは、オウンドメディアの運用をするにあたって運用時の注意点について解説します。

コンテンツのネタに困る

オウンドメディアの運用を進めていくとコンテンツのネタに詰まってしまうことがあります。
これは、自社の製品に慣れ親しんでいると『この情報は誰でも知っているだろう』という感覚に陥ってことが原因の一つといえます。

製品を検討しているユーザーから実際に寄せられる疑問や質問などの情報は営業部門に集まる事が多い為、営業のトークスクリプト(応対集)を共有してもらったり、実際に営業マンへヒアリングを行うと思わぬ発見に繋がります。

また、これらの情報は実際に見込み客が疑問に感じている点である為、コンテンツの質も必然的に高くなる事もメリットでしょう。

コンテンツを作成する時間がない

コンテンツ作成する時間がないことも、オウンドメディア運用でよくある課題のひとつ。

オウンドメディアを運用している担当者は、他の業務と兼務する場合が多くコンテンツ作成に時間を作ることができず、定期的な更新が難しい場合があります。

このような場合は、担当部署だけでコンテンツ作成するのではなく他部署に依頼したり、外注する判断が必要となります。
それぞれのメリットとデメリットは下記のようなものがあります。

依頼先 メリット デメリット
他部署 連携がスムーズ ・協力をえにくい
・クオリティに差が出る
・別途製作者へのインセンティブが必要
記事制作会社 良質なコンテンツが制作できる ・費用が発生する
・自社製品を理解するまでに一定の時間が必要

参考までに、フォーデザインへ相談をいただく企業の多くは『社内リソースが課題』『社内にノウハウが無い』ケースが多く、どちらの場合でも対応が可能です。

社内の理解を得られない

すでにオウンドメディアの担当者に任命されている方なら理解は容易かと思いますが『社内の理解を得られない』ケースは、以外にも多いケースです。。

社内の認識のズレにより、オウンドメディアは売上につながらないと周囲の理解を得られなかったり、評価されないケースです。
オウンドメディア施策は成果が出るまでに、『長期的に取り組む必要がある』という理解を予め社内で得ておく事で、ある程度は回避する事ができます。

もし理解を得ていないまま進めてしまった場合には、施策の内容とその性質をプレゼンし、理解を得る努力が必要です。
同時に定期的なKPIの進捗、現状の課題などを定期ミーティングで積極的に共有しましょう。

まとめ

本記事では、オウンドメディアの運用手順と運用時の注意点について解説しました。
オウンドメディアは、長期的な施策であり、効果が見えるようになるまでには長い期間が必要となります。そのために目的を見失ったり、運用開始後に『社内リソースの問題』や『コンテンツの発信頻度』などの課題が発生します。

発生する課題をひとつずつ解決していくことが、オウンドメディアに関わらず事業そのものを成功させるために必要なプロセスですので、一つ一つ課題を改善しながら前進して行きましょう。