オウンドメディアを運営するには、自社で運営するか外注(外部委託)して運営をするかの2択です。
どちらも、目的を達成するための手段でありどちらが良いという訳ではありません。オウンドメディアの運営には、幅広いマーケティングやSEOの知識が必要になります。
自社で運営する場合と外注の場合では、どのようなところに注意しなくてはいけないのか、『注意点』と『重要なポイント』について解説していきます。
コンサルティング会社に依頼する必要性とは
オウンドメディア運営のノウハウを十分に有するをするコンサルティング会社は、競合調査/キーワード選定/検索順位の計測など、オウンドメディアを中長期的に成功へ導くための戦略設計を得意とする会社から、記事制作単体までを請け負う企業など、サービス提供範囲が大きく異なります。
とくに戦略立案から運営までを行う場合は、SEOの知識だけではなく、UI・UX/動画マーケティング/SNS運用/アクセス解析などの複合的な知識も必要となります。
社内に相応のマーケティング歴のあるメンバーがいない場合は、新たに人材を採用する。または、ノウハウを保有するコンサルティング会社へ依頼する事で、スムーズな立ち上げが可能となるばかりか、長期的に成長できるメディアを作ることができるでしょう。
コンサルティング会社に依頼する背景
コンサルティング会社に依頼する企業が増えた背景には、検索エンジンのアップデートとコンテンツの質や重要性が上がったことがいえます。
従来のSEOでは、コンテンツの質よりも被リンクを増やしたりと技術的な施策が評価につながりやすく、結果検索順位を上げていました。ですがGoogleアルゴリズムのペンギンアップデートとパンダアップデート以降、コンテンツの質が重要視され、検索順位だけを狙ったサイトは質の悪いサイトと判断され上位に表示されなくなっています。
検索ユーザーの検索意図に適した情報が掲載されているサイト/コンテンツが評価されるようになり、これまではSEOだけでの施策で運営できていたオウンドメディアも戦略立案をはじめ、前述の通り、SNS運用やアクセス解析など、マーケティング全般の知識がある人材が必要とされています。
また多くの企業では、優秀なマーケッターが所属していないケースが多いため、マーケティング支援を専門におこなっている会社への依頼が増えています。
オウンドメディア運営におけるコンサルティング会社の役割は?
コンサルティング会社(コンサル/コンサル会社)と一言でいっても、業務範囲は依頼する企業やプランによってさまざまです。
オウンドメディアの運用において、コンサル会社は大きく下記の4つの業務にわけられます。もしくは4つのどれか(戦略設計×SEO戦略、SEO戦略×コンテンツ制作)をかけ合わせた支援を提供する企業が一般的です。
関連記事:【2023年版】オウンドメディアの正しい運用方法と注意点を解説
戦略支援
企業がオウンドメディアを運営する目的はさまざまです。たとえば動画制作会社と業務用脱毛機の会社から依頼があった場合、「キーワードを網羅してコンテンツ制作をしていきたい」「業務用脱毛機の問い合わせを増やしたい」などオウンドメディアの目的/課題が違います。
コンサルティングは企業ごとの目的を具体的にヒアリングし、施策実施のための戦略を練ります。オウンドメディアについて詳しいコンサルタントからの客観的な意見や戦略は、オウンドメディアを成功させる上で重要な施策といえます。
SEOやコンテンツ制作の戦略支援を想定した場合、
- SEO:既存サイトのキーワードと順位を洗い出し、対策の優先順位ぎめを行う
- コンテンツ制作:競合調査を行い、これまでのコンテンツで不足している部分やキーワードの見直しなどの優先順位決め
などを支援します。
SEO戦略
オウンドメディアの運営には正しいSEO戦略を立てる施策もコンサル会社で支援ができるため、オウンドメディアの露出を増やしたり、流入数を増やすためのキーワード設定は重要な戦略です。
たとえばオウンドメディアの立ち上げが間もない場合、コンテンツ数が少なくGoogleからの評価も高くありません。一方でオウンドメディア運営が長い企業では、対策キーワードが適切に設定されていない/キーワードに沿ったコンテンツが配信されていなかったりします。
オウンドメディアの状況によってSEO対策の戦略はことなり『検索ボリュームの少ないキーワードで検索回数を高めていくか』『対策キーワードを見直しコンテンツをリライトしていく』など戦略の優先順位が変わります。
コンテンツを制作し、配信することを繰り返すだけでは、オウンドメディアの検索数/流入数を伸ばすことができないため、SEO戦略は重要となります。
SNS戦略
配信されたコンテンツを多くのユーザーに拡散させるためには、SEO戦略/コンテンツ制作と並行してSNSの活用が重要です。
YouTubeをはじめTwitter/Facebook/Instagram/TikTokなどさまざまな種類のSNS媒体があり、自社に適した媒体を選択することが必要です。
それぞれのSNS媒体ではプラットフォームの特徴が異なり適切な運用が必要になります。十分なリソースや経験がなければ運用の成果を得ることは難しいといえます。
前述した課題からSNS戦略をコンサル会社に依頼される企業もいます。各SNS媒体の戦略から運用までを任せることができるため、媒体ごとの特徴に合わせて投稿の企画やエンゲージメントなどを向上させる提案をしてもらえます。
コンテンツ制作
オウンドメディアの運営において、課題として最も多いのがコンテンツの制作です。
良質なコンテンツを制作するには、ライター/編集者/校正者などコンテンツを制作するための人材が必要になります。また各工程の作業者の質も問われます。
コンサル会社へ依頼をする企業の多くは、『人材の確保が出来ない』『リソースが足りない』など、自社でコンテンツ制作ができないことが背景にあります。
コンサル会社がコンテンツ制作を一貫して支援してくれるため、依頼企業は、制作されたコンテンツを確認するだけで手間が省け業務効率の向上が図れます。
コンサル会社に依頼するメリット
オウンドメディアの運営においてコンサル会社に依頼するメリットは3つです。
企業は課題解決のためにコンサル会社への依頼を検討しますので、あらかじめメリットを整理しておきましょう。
プロの視点でターゲットや市場の分析を踏まえた戦略を立てることができる
コンサル会社は、オウンドメディアを成功に導くためにターゲットや市場分析を含めた戦略を練ってくれる点がメリットといえます。
コンテンツ制作には、企業の強み/特徴を把握して、競合調査を行いコンテンツとして情報を配信する以前に土台となる戦略設計が重要です。
- 競合と差別化できることは何か
- 対策キーワードは適切か
- 競合と不足しているキーワードはないか
- コンテンツの文字量は多いか
- トピッククラスター構造になっているか
- CTAの設置、コンバージョンハードルは適切か
などの調査を行い、戦略を立てる必要があります。
第三者であるコンサル会社に任せることで『自社の強み』『不足している課題』に気づきがあるかもしれません。
競合調査を行い、ターゲットの設定及び見直し、コンテンツの配信/リライトを更新していくための戦略設計をすることができます。
質の高いコンテンツを定期的に更新できる
オウンドメディアが成功するか否かは、配信されるコンテンツの質にかかっています。良質なコンテンツを1本配信すれば良いわけではありません。
いかに良質なコンテンツを多く配信できるかが重要です。
良質なコンテンツを増やすことで上位表示され、ユーザーの流入につなげることができます。ですが良質なコンテンツを継続的に配信するには自社の体制が整っている企業でなければ限界があります。
コンサル会社に外部委託すれば、コンテンツの質が担保され、良質なコンテンツ配信を継続して行うことができます。
制作時間や人件費の削減になる
オウンドメディアはコンテンツを制作して配信するだけではありません。コンテンツの企画/制作だけでなく『配信されたコンテンツの効果計測』や『効果計測後の改善』などPDCAを回しながら運用することが重要です。
オウンドメディアの運用を内製化する場合、UI・UX/動画マーケティング/SNS運用/アクセス解析など、広範囲にマーケティング知見を持った人材の確保が必要になります。
人的リソースや経費削減の課題を抱えている場合、コンサル会社への依頼が得策といえます。
関連記事:オウンドメディア動画の活用事例!使い方や企業事例について紹介
コンサルに依頼するデメリット
オウンドメディア運営をコンサルに依頼をするのはメリットだけでなく、デメリットもあることを理解しておくことが必要です。
オウンドメディアの運用には費用がかかる
オウンドメディアの運営をコンサル会社に依頼する場合、コンサルティング費用は依頼範囲によって異なります。
目安として毎月50〜200万円程度が必要です。継続的な運用には一定のコストが必要になります。
当然、自社で内製化して運用するよりも費用が発生します。戦略設計からコンテンツ制作などの戦略アドバイスを受けられるため、自社の人的リソースや知見、運営目的と目標によって内政するのか、外注するのかを検討しましょう。
コンサルに依頼すると社内の技術ノウハウが残りにくい
コンサルへ依頼した場合、オウンドメディアの立ち上げや運用のノウハウは社内に残りにくくなります。
将来、自社で運用を考えているのであれば運用ノウハウを積極的に共有してくれるコンサル会社に頼むのがおすすめです。
コンサル会社によっては、知識やノウハウを開示できない(しない)企業もあります。会社それぞれで『できること』が違うため、検討する際は注意が必要です。
フォーデザイン(当社)では、伴走型コンサルティングとして制作や運用を支援しながらクライアント企業にノウハウが蓄積できるよう企業担当者にレクチャーを行い、各工程ごとに発生する課題を、クライアントと議論しながら運用を進めるコンサルティングを行っています。
私たちはマーケティングのプロではありますが、クライアントのビジネスを一番理解しているのはクライアント企業である為、それぞれの強みを生かしてプロジェクト推進を行う事が成功への近道であると考えているためです。
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運営するスキルはあるが、記事内容などの専門知識が弱いこともある
コンサル会社は、コンサルティングに必要な知識がある一方で、クライアント企業の製品/サービス知識はありません。
そのため、記事制作の依頼をしても表面的な記事になってしまったり、事前に知識を得る吸収する為の時間を要する場合があります。
その場合、納品される記事を深掘りするために追記した上で検収を行い修正する必要があります。
コンサル会社が自社の業界に詳しいか、どこまでの範囲でコンテンツを制作してくれるかなど事前に確認が必要です。
コンサルに依頼する時の重要ポイント
オウンドメディア運営をコンサルに依頼する時のポイントとして、商品/サービスの知識があるか、または知識を吸収した上でコンサルティングをしてくれるかが重要です。
コンサル会社を決める際にチェックができるよう重要なポイントをおさえるようにしましょう。
見積もりの詳細などの制作費用を比較する
オウンドメディアの運営を依頼する場合、問い合わせをすれば見積や提案書などを提出してくれます。
数社見積を依頼し、提出された制作費用などを比較しながら、どこに依頼をすれば『目的が達成できるか』『効率的なオウンドメディア運営ができるか』を検討し判断するようにしましょう。
注意点は、金額だけを見て比較するのではなく『コンサルティング範囲』や『運用の工程』『何をどちらが対応するのか』についても入念に確認が必要です。
見積だけで会社を決めてしまうと契約後にトラブルなどが発生したり、おこなってほしい施策が見積に入っていなかったりします。見積の金額だけで判断をするのではなく、『施策の内容』や『サポート面』など総合的に判断することをおすすめします。
コンサルティング会社のスタンス
コンサル会社によってオウンドメディア運用の工程はさまざまです。企業の目的に沿った制作を行ってもらえるかが重要です。
また自社の目的を理解した上で、課題解決を一緒におこなってくれるというスタンスを持っているかは更に重要でしょう。
年間数十もの新規案件を獲得するような、大きなコンサルティング会社では予め工程(進め方)が決まっていて、その工程に沿う形でプロジェクトが進行していきます。
その為、プロジェクト途中に工程に含まれないイレギュラーな課題が発生した場合、対応してもらえなかったり、対応が遅くなる傾向にあります。
当社の場合は、決まったフォーマットは最小限にしていて、プロジェクト開始直後にクライアント企業に合わせた工程の作成から取り掛かります。
これは、企業の課題が微妙なニュアンスで異なる為で、例えば、
1年後にCV数を200件にしたい
という課題を持った企業があったとします。
しかし、現在のCV数が10の企業と100の企業ではそもそもの出発地点が異なる為、施策自体も全く異なるものとなります。
また、社内の体制もどのようなメンバーがプロジェクトに参加するのか、決済権を持つ方はプロジェクトメンバーなのか、などによって、コミュニケーション方法も変わってくるでしょう。
このように、目的が同じでも背景が異なる場合には、歩むべき工程は全く違うものとなってきます。
マーケティング施策と言っても、企業の考え方を無視して進行する事はありえませんので、当社は、そういった状況までを加味しながら進めていく事が重要と考えています。
BtoB特化型 伴走型コンサルティング
コンサルに依頼する際の注意点
先述した通り、コンサル会社によって、クライアント企業に提供する範囲が異なります。
依頼時の注意点として重要なのは下記の3つです。
- 分析レポートの提出があるか
- 定期的なミーティングがあるか
- 迅速な提案や改善があるか
効率的かつ円滑なオウンドメディアの運営には必要不可欠といえます。
分析レポートの提出があるか
プロジェクト開始後にコンテンツ配信や納品があればその都度、経過の確認ができます。しかし『配信されたコンテンツの数値がどのように変動しているか』『流入があるか』など計測しているデータを見なければ分かりません。
そのため毎月の分析レポートや定期的な数値報告があるかが重要です。
これまでにメディアの運用経験が無い方だと、オウンドメディアへの流入数やコンバージョン数/直帰率などの専門的なマーケティングに関する数値の見方は分からないでしょう。
分析レポートがあることで、進行しているプロジェクトの方向性が間違っていないかを確認することができます。
分析レポートの内容はコンサル会社によって違い、求めているレポートにも差が出てきます。事前に分析レポートの項目やどういった形式で共有してもらえるのかを確認しておくと安心です。
定期的なミーティングがあるか
企業によっては重要な社内ミーティングの都度、施策の方向性が変わる場合があります。
そのため、コンサルティング会社との定期的なミーティングを開催することで、施策側との認識の意思疎通が測れます。
またミーティング時に、数値報告の機会があることで、現状の課題についてディスカッションしやすくなります。
特に定期ミーティングの開催は、コンサル会社によって開催しなかったり、問い合わせないとミーティングを開催しないといったサポート力が低い会社があるため注意が必要になります。
定期ミーティングは、お互いの意思疎通を図り、課題や施策を共通認識の上ですすめる為に重要なコミュニケーションです。
迅速な提案や改善があるか
オウンドメディアの運営に限らず、プロジェクト進行中に思わぬトラブルや新たな課題が発生する場合があります。たとえば検索エンジンのアルゴリズム変更により順位が著しく下落した場合などです。
状況に合わせてコンサルから迅速な提案や改善があれば、企業担当者も安心し、社内報告もしやすくなります。
コンサル会社の中には連絡は契約時のみで『対応がまったくない』『提案がない』など、対応の悪さが契約後に発生するケースもあり、問い合わせ時から提案やレスポンスなどに注意して連絡を取り合うようにしましょう。
本記事では、オウンドメディアを内製運用するのか、外部のコンサルティング企業に委託するのかのポイントを解説しました。
自社で内製化ができない場合、目的を達成するために施策ができるコンサル会社へ依頼をしなければいけません。しかし、コンサル会社によって対応しているサポートや施策範囲は違い、契約後にサポート範囲が想定と違っていたなどさまざまあります。
コンサル会社は大前提として専門知識や運用ノウハウを持っていなければいけませんが、定期的なミーティングや数値報告など、施策を円滑に進めるためのコミュニケーション力が重要です。
本記事が、オウンドメディアの目的を達成したい企業のコンサル会社選びの参考になればと思います。